幾重にも張りめぐらされた蜘蛛の糸のように、複雑にからみ合った要素が織り成す京極夏彦の世界…。
ペダンチックとも称されるその世界をより精緻に浮かび上がらせるために、気鋭の論者が多角的な視点から縦糸・横糸を解きほぐし、京極作品に迫る。
ミステリ論、陰陽師小説論、怪談小説論、宗教性、心理学、ジェンダー論、サイバーパンクなどの視点から見えてきた「匣の意味」「みどりなす長き黒髪の女たちの意味」「京極堂と探偵榎木津の関係性」とは…。
京極夏彦の世界を読み解き、ほの暗い深奥に足を踏み入れるための道しるべ。
目次
伽藍と呪術師―「ことばの城壊れよ」と探偵は言った
視覚と言語との分裂―中禅寺と榎木津のペア原理について
ジェンダー・スタディーズの視点から読む京極ワールド―『姑獲鳥の夏』『絡新婦の理』を中心に
「精神分析」の呪縛―『狂骨の夢』批判的読解
匣と陰陽師
死の系譜―みどりなす長き黒髪の女たち
あやつりの宴―京極ミステリーのマニエリスム
京極夏彦論・再説